無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「お前が悪いんだろう！お前が先に浮気なんかするから。」

「違う！あなたが仕事ばっかりであたしの事なんかかまってくれないから…。」

「仕方ないだろう。仕事なんだから。お前は誰のおかげで飯を食ってると思ってるんだ！」

毎日毎日繰り広げられる両親のケンカ。そのケンカがなくなったときには、同時に両親もいなくなっていた。

まだ６歳になったばかりの私は、よくわからずにおばあちゃんの家へ引き取られた。しかし、両親がいなくなったことだけははっきりとわかった。心のどこかには、両親がいなくなって嬉しいと思う気持ちがあったと思う。

二人の事は、結局私が大きくなってからおばあちゃんに聞いた。二人とも浮気していて、それぞれの相手と家を出ていったそうだ。私一人を残して。

おばあちゃんは、この話をするとき、ボロボロと涙をこぼしていた。



その数年後、私が17歳の時、おばあちゃんは亡くなってしまった。原因は、心不全。おばあちゃんは、74歳だった。

今思えば、おばあちゃんは私が一人前になる前に自分が死んでしまうことをわかっていたのではないだろうか。

とても優しかったおばあちゃんは、マナーだけには厳しくて、私は何度も叱られた。それに、料理の仕方、洗濯の仕方、掃除の仕方等、たくさんのことを教えてくれたことも覚えている。

そのおかげで、私は一人暮らししても困らない程度の事はできるようになっていた。

お金はおばあちゃんが遺してくれた遺産があったので困ることはなく、私はロボットのように生活していた。