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真夏の雨

第6章 ゴシップ

映画館からでた桜は
パンフレットを片手に歩きだした。


冬の風は冷たく頬に突き刺さる
少し寂しげにうつ向いた桜


呑みたい気分だった…



「かげろう」の
ノレンをくぐり
一足早くに呑んだ。


かげろうの親父が
いつもより早い桜に
話しかけてきた。



桜は、笑顔で応え
焼き鳥を食べながら
熱燗を呑み一時を楽しんだ。




時計を見たら
21時なっていた
慌てて店を後にした



帰りに月を見上げ
明日の事を考えた
難しい顔になるのがいつもの癖だ
サンプルの仕上げ
工場とのうちあわせ
午後からは、健診に行かないと
いけないのだ。
憂鬱だぁ…さいきん呑みすぎてるし
まず健康的な生活でもない。
更年期も早々にきそうな勢いだし。
あぁ。難しい顔に更に眉間にシワが
より始める。



マンション前に着いたのが
22時を過ぎた頃だった。


フロアーの入口に
美しい君がいた。座り込んでいる
目頭に指を挟み
泣いてるようにも見えた。



桜は、通りながら

こんばんは、風邪引くわよ。と
声をかけてエレベーターを待った


桜を見上げた
君の瞳から涙が落ちた。


具合わるいの?大丈夫?
と駆け寄った

瞬間


何かが割れるような鈍い音が
靴の底から聞こえた…



ひょぇ…桜は
足をあげた



朱里は、「あーぁ。コンタクトふんだ
いま探してたのにちょっとー桜さんっ」


ひたすら謝る桜に対し
朱里は、笑いながらご飯奢ってくれたら許す提案を言った。



今から作ろうか?と桜は言う


朱里は、「外で食べたい」と言った

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