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真夏の雨

第8章 憂鬱

早朝から携帯が鳴りだした…

飛び起きた桜は
寝起きの声で…返事をした


朱里が
苦しそうに
助けてを求めている


素早く起き上がり
ベッドを飛び越えて
カーディガンを羽織り

玄関を飛び出した


呼び鈴を鳴らし
力一杯ドアを叩いた


扉が開き

倒れてきた朱里を支え
どうにかベッドへ


顔は強張り
苦痛に歪んだ朱里を
どうすればいいのか…
胸を押さえ
蒼白く力なく消え入りそうな
美しい君の手を握り
祈るしか無かった。



どうしたらいいの?

ねぇ

一体何があったの?

繰り返しブツブツ言った

膝まずいた足が感覚をなくすような
血の気の引く思いをしながら
美しい君を見つめた。



朱里は突然ニコッと笑い
マシになったから
大丈夫だと言った。



なんて奴だ

生きた心地しなかったあたしを
どうしてくれんのよ…なんて
思った。


立ち上がり朱里は
今夜の食事に誘ってきた。


当然
病人となんていくわけない
そう思ってスルーした。

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