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放課後は図書室で

第10章 秘めた想いと決心

「ね、美希の駅まで一緒に行こうか?」


もうすぐ紗耶香の降りる駅に着くという頃、紗耶香が心配そうにそっと聞いた。

見ない振りをしていたけど、一気に現実を突きつけられたような気分になって急に気分が落ち込む。


「大丈夫だよ。ひとりで帰れるから。」


私は紗耶香を安心させるように笑顔を作って言った。

紗耶香は心配そうな顔をして、ちらっと先輩の顔を見ると、


「うん、わかったよ。…気をつけてね。」


と言って、ちょうど扉が開いた電車から降りて行った。

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