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放課後は図書室で

第10章 秘めた想いと決心

いくら電車が止まっているとは言え、それでも駅の雑踏はそこまで続くわけもない。


あっという間に駅前の小さな商店街も抜けて、静かな住宅街へとたどり着いてしまった。


「やっと人が少なくなったね。」


先輩は立ち止まって私を振り返った。

私も立ち止まり、先輩の手の暖かさを名残惜しく感じていることに気付いた。


「…ね、寒いから、このままで行こう。」


先輩は優しい声で言うと、俯いている私の顔を覗き込んだ。

そんな事を言われるなんて思ってもいなくて、ただ、頷くことしかできなかった。

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