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放課後は図書室で

第3章 日常

「鍵、返しておくよ。そのくらいは俺にやらせてよ」


私が言うと、先輩は私の手から鍵を取って言った。
急に手を取られて、私はまた心臓が高鳴り、動けなくなった。


「今日はありがとう。楽しかったよ。また一緒にできるといいね。
それじゃ、気を付けてね」


固まったままの私の側で、またあの優しく甘い声でそっと囁くと、そのまま先輩は職員室まで鍵を返しに行った。


「ありがとうございました。お疲れさまです」


私は慌てて振り返って言うと、先輩は振り返らずに鍵を持った手を上げてそのまま階段を降りて行った。

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