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放課後は図書室で

第14章 いろんなきもち

さっき買い物をしたモールへ戻る道のりは、海辺へ来る時よりなんだか暖かく、気持ちも少し上がっていた。

その原因はもちろん、先輩が握っている手と首に巻かれたマフラーで、握り返す勇気がない私は空いている手でマフラーをそっと握り締めた。


「食べたいものある?嫌いなものとかない?」


先輩は私を見てそう言いながら、手を何度か強く握った。


「…えっ?…あっ、あの。
先輩が食べたいもので大丈夫です。」


私が先輩の手を握り返したいと思っているのがお見通しのようなタイミングで、ちょっと声が上擦りながら慌てて答えた。

先輩はそんな私を見てふっと笑うと、なぜか頭を撫でた。

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