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放課後は図書室で

第15章 それでも好きな場所に

先輩は私の言葉にびっくりした顔をして、でもすぐに楽しそうに笑い出した。


「何を言うかと思ったら…。
でもそうだね。気になっちゃうよね?…やっぱり、二人きりの時のお楽しみにするよ。」


先輩は優しくそう言うと、私の目を捕らえながら名残惜しそうにマフラーを撫でると、そっと口許に触れてからマフラーを離した。


その仕草はまるで私にキスをしているみたいで、胸がドクンと音を立てた。

でも先輩はなに食わぬ顔をして、笑顔で私を見ていた。


「ごっ…誤解、されちゃいますよ…。」


混みあった電車の中で逃げる場所もなくて、それだけ言うと先輩に背を向けて窓の外に視線を向けた。

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