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今は元婚約者の影を頭の奥にグッと隠して賢さんの隣に駆け寄った

賢さんは自動販売機の前で温かいココアを綾香に手渡した。

３月の朝の静まりかえった湖畔の公園には
面白い声で鳴く野鳥の声が響き渡り、足元では霜柱を踏む音でザクザク言っていた。
「犬！？」
低い木の茂みからこっちの様子を伺っている気配を感じ目をこらすと…


『アレはタヌキだね！』


動物好きな綾香は初めてみるタヌキに感激した！！

遠くの方で
《キューキュー》
って声が聞こえる



『アレは鹿の鳴き声だよ！』


賢さんは不思議そうな顔をしている綾香に声をかけた。


『綾香ちゃんが良ければ、、もっともっと色んな場所に連れていきたいな〜
スポーツしたり、遊んだり、ゲームしたり一緒に笑って、一緒に経験して…思い出が作りたいなぁ♪
少しずつ私を見ていってくれたら嬉しいなぁ〜
怪しい事だけに逃げないで綾香ちゃんの歳相応の楽しみを視野を一緒に広げてみませんか？』

ちょっと照れ臭そうに賢は綾香の前を歩いて振り返り綾香の顔色を伺う。。
逆光で賢さんの表情は見えなかったが肩幅が広くて〜背が高い真面目そうな賢さんがそこで手を差し出した。

「うん(^-^)」


綾香はそっとその手に自分の手を重ねた。

賢は嬉しそうに力を入れた

温かく大きな手…
懐かしい……
綾香の小さい頃、よく手を繋いだパパの温もりと一緒だった〜