トライデント
第5章 強きゆえに…
それからは、料理教室が終わると毎晩デイジーと2人でゲオルグを待つ日々が続いた。
たわいもない会話を繰り広げるデイジーとハーデス、悠久と呼ぶべき時間がそこには存在した。
デイジー「ハーデス、もう記憶は戻らなくてもいいの?」
デイジーはふとハーデスに聞いた。
ハーデス「あ、ああ、なんか怖いんだ。変な夢見たりしてうなされるし、俺は本当はとんでもない過去があるのかもしれない。」
ハーデスは嫌だった。
あのペルセポネーに支配されるような記憶がたまらなく嫌だった。
デイジー「ペルセポネーってどんな子なの?」
デイジーがさらに聞いた。
ハーデス「分からない、でも俺達よりずっと年下な気がするんだ。とても恋人なんて思えない!」
ハーデスは苦しそうな顔をする。
デイジー「ご、ごめんなさいハーデス!もう忘れて!あなたが苦しそうなの見てられない。余計なこと聞いてごめんね。」
デイジーはハーデスの手を優しく握った。