
トライデント
第2章 不安定な神話
「僕は大切なものを守りたくて神になりたいんだ。」
イオ「大切なもの?」
少年はつづけた。
「僕は、三年前のあの日、友達と逃げようとした。でも非力な子供の僕らはあの襲撃からは逃れることはできなかった。そして一緒に逃げていた友達は足を怪我して走れなくなったんだ。」
イオ「そうだったわね、あれはまさしく襲撃。」
イオは思い出し、元老院に目をやる。
元老院は相変わらず無表情を保つ。
「僕は無理だと分かりながらも友達を背負って走り続けた。しかし大人達は僕らに攻撃をしてきたんだ。」
イオ「ひ、ひどい…。」
