アルカナの抄 時の息吹
第8章 「世界」正位置
「おまえを連れ戻しにきた」
ガロウが急に真剣な顔つきになり、あたしを見つめた。
「マキ。おまえは掃除は終えたと言っていたが」
一呼吸置き、続ける。
「俺の部屋がまだだ。だから…おまえは、俺の城にいなければならないッ」
「ええっ?」
「部屋がきれいになれば出ていってしまうのなら、戻ってしまうのなら!俺は、また汚す!何度でも!!毎日毎日ッ!!」
「???」
唐突に無茶苦茶なことを言い始めた彼に、あたしは戸惑った。
「…だから、ずっと掃除し続けてくれ。行かないでくれ。側に、いてくれ」
消えてしまいそうな悲痛な声。
「俺にはマキが必要なんだ」
泣き出してしまいそうな顔で、声で、彼は言う。
何を言おうとしているのか、やっと気づいた。だけど、焦る彼が愛しくて…ちょっといじわるしてみたくなる。
「…侍女として?掃除してほしいから?」
「ち、違う。だから…その…」
ごにょごにょと口ごもる。彼は、大きな決心を言葉にしようとしている。あたしは、あたしも、ひとつの決心を――重大な選択をしなければならないだろう。
ガロウが急に真剣な顔つきになり、あたしを見つめた。
「マキ。おまえは掃除は終えたと言っていたが」
一呼吸置き、続ける。
「俺の部屋がまだだ。だから…おまえは、俺の城にいなければならないッ」
「ええっ?」
「部屋がきれいになれば出ていってしまうのなら、戻ってしまうのなら!俺は、また汚す!何度でも!!毎日毎日ッ!!」
「???」
唐突に無茶苦茶なことを言い始めた彼に、あたしは戸惑った。
「…だから、ずっと掃除し続けてくれ。行かないでくれ。側に、いてくれ」
消えてしまいそうな悲痛な声。
「俺にはマキが必要なんだ」
泣き出してしまいそうな顔で、声で、彼は言う。
何を言おうとしているのか、やっと気づいた。だけど、焦る彼が愛しくて…ちょっといじわるしてみたくなる。
「…侍女として?掃除してほしいから?」
「ち、違う。だから…その…」
ごにょごにょと口ごもる。彼は、大きな決心を言葉にしようとしている。あたしは、あたしも、ひとつの決心を――重大な選択をしなければならないだろう。