アルカナの抄 時の息吹
第3章 「運命の輪」逆位置
だが、ハースの懸念は早くも当たってしまう。
それは翌朝のことだった。王の寝室から、ぎゃああという悲鳴が城じゅうに響いた。ちょうど王の起きる頃だ。
絶望と悲しみと喪失感の入り雑じったヒステリックなその叫びに、ハースは、なんとなく何が起こったか察していた。ああ…とうとうお知りになってしまった。ハースは胃にわずかな痛みを覚えながらも、王の私室へ飛んでいく。
「へ、陛下…」
いかがなさいましたか、と扉を開ける。
「少し早く目が覚めたから…様子見がてら自分で包帯を取ったんだ。そうしたら」
「髪が…!俺の髪が…!!」
鏡を前に、王はしきりに叫び始めた。そしてさらに、このタイミングで。
「どうしたの?すごい叫び声が聞こえたけど」
開け放たれた扉から、女がひょっこり顔を出した。
この女まで来てしまった…!
余計ややこしくなりそうだ、とハースは頭を抱えた。王は相変わらず髪が、髪がと叫び狂っている。
それは翌朝のことだった。王の寝室から、ぎゃああという悲鳴が城じゅうに響いた。ちょうど王の起きる頃だ。
絶望と悲しみと喪失感の入り雑じったヒステリックなその叫びに、ハースは、なんとなく何が起こったか察していた。ああ…とうとうお知りになってしまった。ハースは胃にわずかな痛みを覚えながらも、王の私室へ飛んでいく。
「へ、陛下…」
いかがなさいましたか、と扉を開ける。
「少し早く目が覚めたから…様子見がてら自分で包帯を取ったんだ。そうしたら」
「髪が…!俺の髪が…!!」
鏡を前に、王はしきりに叫び始めた。そしてさらに、このタイミングで。
「どうしたの?すごい叫び声が聞こえたけど」
開け放たれた扉から、女がひょっこり顔を出した。
この女まで来てしまった…!
余計ややこしくなりそうだ、とハースは頭を抱えた。王は相変わらず髪が、髪がと叫び狂っている。