アルカナの抄 時の息吹
第3章 「運命の輪」逆位置
「ああ、知っちゃったのね」
余計なことを言うでない!!
ハースはものすごい勢いで入り口を見ると、ジロリと目で牽制した。だが、相手は気に留める様子はない。
「…お前、知ってたのか…?」
驚愕の顔で言った。
「知ってたわよ。ウェハースさんも、あのお医者さんも」
そこまでしゃべる必要あるか!!
一気に血の気の引いたハースは、慌てて弁解する。
「いえ、でもあの、御髪がお生えになるまでですので!少しご辛抱頂けば、すぐに元通りになりますよ!」
ハースは目配せをする。
「あ…――そ、そうよ!結構小さいし、このくらいならそんなに目立たないわよ~」
「その通りですよ、陛下!」
「それに、私を守ってのことなんだし、英雄の証じゃない!かっこいいわよ!!」
必死な二人を見て逆に冷静になったのか、王はやがてがっくり肩を落とし、深く息をついた。
「わかった…この件に関してはもういい。今は出てってくれ」
弱々しい、虫の羽音ほどの声で王が言う。
触らぬ神に祟りなし。取り敢えず落ち着いたようだし今のうちに出ていこう、と二人は部屋を後にした。
余計なことを言うでない!!
ハースはものすごい勢いで入り口を見ると、ジロリと目で牽制した。だが、相手は気に留める様子はない。
「…お前、知ってたのか…?」
驚愕の顔で言った。
「知ってたわよ。ウェハースさんも、あのお医者さんも」
そこまでしゃべる必要あるか!!
一気に血の気の引いたハースは、慌てて弁解する。
「いえ、でもあの、御髪がお生えになるまでですので!少しご辛抱頂けば、すぐに元通りになりますよ!」
ハースは目配せをする。
「あ…――そ、そうよ!結構小さいし、このくらいならそんなに目立たないわよ~」
「その通りですよ、陛下!」
「それに、私を守ってのことなんだし、英雄の証じゃない!かっこいいわよ!!」
必死な二人を見て逆に冷静になったのか、王はやがてがっくり肩を落とし、深く息をついた。
「わかった…この件に関してはもういい。今は出てってくれ」
弱々しい、虫の羽音ほどの声で王が言う。
触らぬ神に祟りなし。取り敢えず落ち着いたようだし今のうちに出ていこう、と二人は部屋を後にした。