アルカナの抄 時の息吹
第3章 「運命の輪」逆位置
明くる日。日が登り、ヴェルテクスを照らし始めた頃。庭では、もはや恒例となったあたしの労働と王の監視がまた始まっていた。
「おい!そこにも木の葉が落ちてるぞ」
王があたしの少し後ろに立ち、地面を指差して言った。
「…うるさいわね。わかってるわよ」
「お前が見落としてるから教えてやったんだ」
「今掃こうと思ってたわよ!いっぺんにはできないでしょーが!」
…と、暫くぎゃあぎゃあ騒いでいたが、だんだん疲れてきた。あたしはプロじゃないんだから、完璧を求めないでよ!
「あたしが出ていったら、掃除うまい人呼べばいいじゃないの」
ぼそりと呟く。と、王は急に無言になり、用事を思い出したと言ってどこかへ行ってしまった。
「…台風みたいな人ね」
そう言えば、昨日軍事会議中の王の間に乗り込んできた女の子、面白い子だったわね…。一国の皇妃らしいけど。
いつかどこかで会ったら話してみたいな、なんて思いながら、あたしは作業に戻った。
さて、王は城内へ戻り、私室へと向かっていた。寝るためではない。あるものを思い出していた。
それは、キャビネットの中にある。小さな箱に納められた、月を象ったペンダント。豪華な装飾が施され、背面には龍も彫り込まれている。それを手に取りじっと見つめた。
月は万国共通…か。
やがて意を決したようにそれを箱に戻し、そっと内ポケットに入れる。部屋を出ると、王は庭へとまた向かった。
「おい!そこにも木の葉が落ちてるぞ」
王があたしの少し後ろに立ち、地面を指差して言った。
「…うるさいわね。わかってるわよ」
「お前が見落としてるから教えてやったんだ」
「今掃こうと思ってたわよ!いっぺんにはできないでしょーが!」
…と、暫くぎゃあぎゃあ騒いでいたが、だんだん疲れてきた。あたしはプロじゃないんだから、完璧を求めないでよ!
「あたしが出ていったら、掃除うまい人呼べばいいじゃないの」
ぼそりと呟く。と、王は急に無言になり、用事を思い出したと言ってどこかへ行ってしまった。
「…台風みたいな人ね」
そう言えば、昨日軍事会議中の王の間に乗り込んできた女の子、面白い子だったわね…。一国の皇妃らしいけど。
いつかどこかで会ったら話してみたいな、なんて思いながら、あたしは作業に戻った。
さて、王は城内へ戻り、私室へと向かっていた。寝るためではない。あるものを思い出していた。
それは、キャビネットの中にある。小さな箱に納められた、月を象ったペンダント。豪華な装飾が施され、背面には龍も彫り込まれている。それを手に取りじっと見つめた。
月は万国共通…か。
やがて意を決したようにそれを箱に戻し、そっと内ポケットに入れる。部屋を出ると、王は庭へとまた向かった。