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アルカナの抄 時の息吹

第3章 「運命の輪」逆位置

「…いや」
王は依然背を向けたままだ。

「お前は間違っていない。確かに俺は関係ない。俺たちは何の因果もない。…ただの他人だ」

「そんな言い方しないでよ」

「だからお前も」
王がゆっくりとこちらを向く。逆光で陰り、表情は見えない。

「――俺に関わるな。深入りするな…頼む」
最後は、すがるようだった。切ないくらいに小さく、儚い声だった。

頼む、だなんて。そんなに、あたしに知られたくないことなの…?

「…わかったわ」
あたしは静かに答えると、じゃあ行くわね、と部屋を出た。





           第三章 完

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