アルカナの抄 時の息吹
第4章 「月」逆位置
あの人は、どんな闇を心に抱えているのだろう。
あたしは、本の表紙を見つめた。なんとなく読むのをためらっていた本。他に借りた本はだいたい目を通したのだが、これだけは、なぜか開くのが怖かった。
『ヴェルテクス史』。ここに、何か重大なことが書かれている気がしていた。物語を大きく揺るがす何かが。
怖い。…とてつもなく。だけど…読まなければならない。そんな気もしていた。
意を決して本を開ける。まず国の成り立ち、初代国王の功績や人柄。それが何ページにも渡って書かれていた。
「すごい人だったんだ…」
そして、二代目。時の王は三代目なので、先代だ。すなわち、彼の父でもある。描かれた肖像画を見ると、紫と碧のオッドアイが印象的だった。その名前に、あたしは目を見開く。
“レクザム”
横には、生没年が書かれている。この世界での暦を知らないし、今何年なのかもわからないが、既に亡くなっていることは確かだと知る。しかも、かなり若くして亡くなっている。
それもあってか、二代目についてのページは、初代に比べればかなり少ない。だが、それでもその功績は素晴らしいものだった。
あたしは、本の表紙を見つめた。なんとなく読むのをためらっていた本。他に借りた本はだいたい目を通したのだが、これだけは、なぜか開くのが怖かった。
『ヴェルテクス史』。ここに、何か重大なことが書かれている気がしていた。物語を大きく揺るがす何かが。
怖い。…とてつもなく。だけど…読まなければならない。そんな気もしていた。
意を決して本を開ける。まず国の成り立ち、初代国王の功績や人柄。それが何ページにも渡って書かれていた。
「すごい人だったんだ…」
そして、二代目。時の王は三代目なので、先代だ。すなわち、彼の父でもある。描かれた肖像画を見ると、紫と碧のオッドアイが印象的だった。その名前に、あたしは目を見開く。
“レクザム”
横には、生没年が書かれている。この世界での暦を知らないし、今何年なのかもわからないが、既に亡くなっていることは確かだと知る。しかも、かなり若くして亡くなっている。
それもあってか、二代目についてのページは、初代に比べればかなり少ない。だが、それでもその功績は素晴らしいものだった。