アルカナの抄 時の息吹
第5章 「恋人」正位置
なんとなく異様な雰囲気の漂う扉の前。少し長めの、クセのある金髪をかきあげ、青年は慣れた様子で呼び掛ける。
「僕だよ。開けるね」
そう言って扉を開けると、部屋の中は荒れていた。
嵐のあとのように物が散らかる中、全裸の女性が、ベッドの上にうつ伏せに寝そべっている。入り口に立ったままの青年に気づくと、やや不満げな視線をちらりとよこす。
「遅かったじゃない」
女性はゆっくりと身体を起こす。
「そう?いつもと同じくらいだけど」
「…まぁいいわ。ねえ、早く」
急かす女性に、青年は苦笑する。今日の女王様は、どこかご機嫌ななめのご様子。青年は言われるがままに、ビシリと着込まれた上着のボタンに手をかけた。
「…何かあった?」
ボタンを外しながら、さりげなく聞いてみる。
「いいえ別に。…下も脱いで」
「はいはい」
青年は表情一つ崩さずズボンを脱ぐと、上着と同じように椅子に掛けた。女性は立ち上がり、一糸まとわぬ姿になった青年に歩み寄る。
「さあ…抱いて」
女性は青年の首に腕を回し、自ら唇を重ねる。青年は女性を抱き寄せると、女性のしなやかな腰をするすると撫でた。そのままベッドに押し倒し、身体を重ねる。
「もっと強く…強く抱いて。もっとよ」
夜は更けていく。一見静かで、でも激しく、熱い夜。女性の艶かしい声が聞こえる中、やがて朝を迎えた。
「僕だよ。開けるね」
そう言って扉を開けると、部屋の中は荒れていた。
嵐のあとのように物が散らかる中、全裸の女性が、ベッドの上にうつ伏せに寝そべっている。入り口に立ったままの青年に気づくと、やや不満げな視線をちらりとよこす。
「遅かったじゃない」
女性はゆっくりと身体を起こす。
「そう?いつもと同じくらいだけど」
「…まぁいいわ。ねえ、早く」
急かす女性に、青年は苦笑する。今日の女王様は、どこかご機嫌ななめのご様子。青年は言われるがままに、ビシリと着込まれた上着のボタンに手をかけた。
「…何かあった?」
ボタンを外しながら、さりげなく聞いてみる。
「いいえ別に。…下も脱いで」
「はいはい」
青年は表情一つ崩さずズボンを脱ぐと、上着と同じように椅子に掛けた。女性は立ち上がり、一糸まとわぬ姿になった青年に歩み寄る。
「さあ…抱いて」
女性は青年の首に腕を回し、自ら唇を重ねる。青年は女性を抱き寄せると、女性のしなやかな腰をするすると撫でた。そのままベッドに押し倒し、身体を重ねる。
「もっと強く…強く抱いて。もっとよ」
夜は更けていく。一見静かで、でも激しく、熱い夜。女性の艶かしい声が聞こえる中、やがて朝を迎えた。