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サンタとトナカイ、天使と私

第1章 美女

――真っ赤なお鼻の トナカイさんは いつもみんなの 笑いもの

 陽気なメロディと可愛らしい女の子の歌声が行きかう人たちの話し声や笑い声に紛れて流れてきた。耳からはいってきた軽快なメロディと可愛らしく悲しい歌い出し。
 その歌詞が今の自分と重なって息を深く吐き出す。
 毎年この時期になると何処にいても聞えてくるこの歌を私はこっそり気に入っていた。
 トナカイにはサンタクロースがいるように私にもいつか王子様が現れる、と信じ始めたのはいつだったろう。私の頭に教会で佇む美しい天使が頭に浮かんでふわりと消えた。

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