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恋愛短編集

第5章 母さんのオムライス

















もう何も見たくないし、聞きたくもない。

立てた膝に額を押し付け、両手で耳を塞ぐ。

背中を屋上の壁に引っ付けて、これ以上ないくらいに縮こまっていた。

もう誰にも会いたくないし、話したくもない。

いっそのこと死んでしまえば…


「聡!!」


突然、視界が開けて音が飛び込んで来た。

目の前には溢れんばかりの涙を溜めている梓。

俺の両手を耳から引き剥がし、無理矢理顔をあげさせられたようだ。

梓…なんで泣いてんだよ…

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