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恋愛短編集

第5章 母さんのオムライス


そうか、俺も母さんを優しく包んであげればいいんだ。

母さんのばらばらになった感情を優しく包んで、楽しいことを上乗せしてあげればいい。

そうしたらきっと、美味しいオムライスが出来上がるから。

もうちょっとやそっとじゃ不味くならないオムライスが出来上がるから…

そうしたら今度は梓と母さんと俺で仲良く食べよう。

きっとみんな、笑顔で完食できる。

あの頃のような、父さんも姉さんも大好きなあの味のオムライスを食べよう―。


梓…ありがとう……

俺は梓の胸の中で今度はひっそりと泣いた。

流れ出た涙は、今度は暖かかった。


「聡…大好きだ」

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