恋愛短編集
第5章 母さんのオムライス
「色んな感情の粒があっても、私が優しく包み込んであげよう。更に楽しいことも上乗せしてあげるぞ?」
梓は俺を抱きしめながら優しく言った。
きっと目が細くなっているのだろう。
いつもみたいに笑っているのだろう。
見えないけどよく分かる。
俺の目の前は、またぼやけていてよく分からない。
でも、何かが見える…
あぁ…オムライスだ。
母さんのオムライスだ。
チキンライスの粒をふわふわ卵で優しく包んで、最後にはケチャップをかける。
俺がライスで梓が卵、楽しいことはケチャップ。
ほんとに…オムライスだ。
父さんや姉さん、そして俺が好きだった母さん特製のオムライス。
またみんなであの美味しいオムライスが食べたいな…