恋愛短編集
第2章 ヤンデレな彼女
「さ、沙綾…?」
仕方ないので、残された俺は沙綾に声をかける。
声をかけられた沙綾はゆっくりと顔を上げた。
その表情は…無い。
人形の方がいい表情してんじゃないかっていうくらいだ。
そしてそのまま口の端だけ持ち上げる。
「昂、お帰り…待ってたんだよ」
…もう理由とか聞きたくない。
恐怖でいっぱいの心を無視して、俺は精一杯笑顔を作った。
そこから先のことは最早思い出したくない。
ただ…終始俺が怯えていたのは言うまでもない。
これが俺のヤンデレな彼女だ。
恐怖で怯える毎日だ。
だが、俺は沙綾と別れようとは思わない。
それは…
俺が、こんなんでも沙綾を好きだからだろうな///