恋愛短編集
第3章 王子とメイドの戯言
「なあ」
『はい、なんでございますか』
「愛と恋の違いってなんだと思う」
『なにを唐突におっしゃるのです』
「いいじゃん、暇だし」
『暇とおっしゃるのなら、目の前の仕事を片付けたらどうです』
「う、うるさい。
今はやる気がないんだ、やる気が。
やる気が出れば、一瞬で終わるさ、こんなもの」
『そんなことを言っていたら一生やる気なんて出ませんよ。
そして、今までその言葉を何回使いましたか』
「うぐ…。
と、とにかくどう思う」
『また逃げた』
「どう思う!」
『はいはい。
…で、なんでしたっけ』
「愛と恋の違い!」
『ああ。
そんなの簡単ですよ』