恋愛短編集
第3章 王子とメイドの戯言
「本当かっ?」
『もちろん。
漢字が違います』
「………」
『なんですか』
「お前に聞いた俺が馬鹿だった…」
『今頃自覚したのですか』
「主に向かってその言い方はないだろっ!」
『私は本当のことを言ったまでです』
「俺は馬鹿じゃない!」
『あら?この間、城内でかけっこをしていて花瓶を割ってしまったのは誰でしたっけ?』
「うぅ…」
『それにメイドにミミズを投げつけて、こっぴどく叱られていた人間もいたような…』
「うぅ…うぐっ……ひっく………」
『…ああ、もう。
こんなことで泣かないでください。
ほんのちょっとからかっただけじゃないですか』
「………」
『分かりました、分かりました。
私が悪かったです。
お許しくださいませ』