
恋愛短編集
第4章 反対側のキスマーク
「そんな人とは別れてください。自分が幸せにします」
顔を上げればきっと駿君の真剣な顔がある。
でも、私はその顔を見ることは出来なかった。
見てしまったら、そっちに揺らいじゃうかもしれない。
朗のことを捨てちゃうかもしれない。
でも―
「…私が朗のこと、大好きなの」
私は消えそうな声で呟いた。
「どんなに振り向いてくれなくても、大好きなの。だから別れられない。ごめんね…」
これが私の本心。
どれだけのことをされても、いや、されていなくても私の気持ちは変わらない。
申し訳ないけど変わらない。
「…じゃあ振られたら付き合ってくれますか?」
「え…?」
