
恋愛短編集
第4章 反対側のキスマーク
「でも彼氏さん、振り向いてくれないんですよね?」
「え?」
「俺は絶対に先輩を大切にします。寂しい想いなんてさせません!」
駿君は私の両肩を掴んで言った。
さっきまでの可愛らしさなんてどこにもない。
必死ではあるが、かっこいい男の人だった。
思わず揺らいでしまいそうになる。
そんな自分を振り切る為に、駿君を見ないようにうつむいて言った。
「な…んで、振り向いてくれていないって思うの…?」
「だって先輩、いつも寂しそうで辛そうじゃないですか。幸せだったら…そんな顔してませんよ…」
そんなにも私のことを見てくれているんだ。
なんで私は朗のことが好きなんだろう?
