
恋愛短編集
第4章 反対側のキスマーク
すると突然、駿君が私の首の左側に顔を埋めた。
この行為、何をしようとしているのか分かる。
それは朗だけに許した行為―
「だめっっっ!!!!」
私は思いっきり駿君を突き飛ばした。
ここで押し返されるのは予想してなかったのだろう。
駿君はよろめきながら後ろへ下がった。
「ごめんね…ごめん。でも、こっち側は…だめ」
下を向きながら、声を絞り出す。
もう駿君の顔なんて見れない。
だが、これだけは朗以外許したくない。
左側の赤い印は朗だけの特権だもの。
私の大切なものだもの…
下を向いていると再び駿君が近寄って来て、さっき以上の力で私の肩を掴んだ。
今度はもう逃げられない。
そして駿君はまた私の首元に顔を埋める。
直後にピリッとした痛みがする。
―首の右側に。
