恋ばか
第9章 ~婚約~
「あっ!! いた!!」
玄関に行くと、春架がキョロキョロしながら待っていた。
「春架!!」
「…兄ちゃん!!」
春架はこちらに気づくと、全速力でこちらに向かって走ってきた。
「うわっ!!」
勢いよく胸に飛び込んできた春架をなんとか受け止める。
「久しぶりだね、春架。 元気にしてた?」
「…っ…ぅ…」
「春架…?」
腕の中にいる春架を見ると、春架は俺の服にしがみつきながら泣いていた。
「春架!? どうしたの!?」
驚いて問いかけると、小さい声で春架は訴えてきた。
「…兄ちゃ…やっと…会えっ……会えな…て…寂しかっ…」
「春架…」
そんな風に訴えてくる春架がかわいくて、優しく頭を撫でてやる。
「俺も会えなくて寂しかったよ。」
「っ…ほんっ…と…?」
春架はゆっくりと顔を上げると、そう尋ねてきた。
俺は少し微笑むと、涙を優しく拭ってあげた。
「本当だよ。 だから、もう泣かないの。 ね?」
「…う…ん。」
2、3分経つと春架も落ち着いて、いつもの春架に戻った。