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恋ばか

第9章 ~婚約~

「…さてと、俺は帰ろうかな。」

「え? もう帰るの?」

立ち上がりかけた春架を驚いて見る。

「うん。 話はもう終わったし、ここに居ても邪魔だろうから…」

そう言って、今度は境達の方を一別する。

「お祖父様にはなんて言う気だよ?」

「ん~…兄ちゃんにはもう恋人がいたって正直に話すよ。 小原財閥の息子を捕まえたなんて知ったら、お祖父様飛んで喜ぶよ。」

そう言って、春架は「ハハッ」と笑った。

帰り支度をする春架を見て、亮が言葉を発した。

「なあ、お祖父様って今本家にいないのか?」

突然声を掛けられて、春架は驚いたようだが、すぐに答えた。

「あっ、はい…いると思います。」

春架の答えを聞くと、亮は少し怪しげに微笑んだ。

(…こういう顔の時の亮って、ろくな事考えないんだよね…)

そして、俺の予想は見事に的中した。

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