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恋ばか

第9章 ~婚約~

「留架の婚約者になりかけた人だろ? 留架を取られないよいに見せつけておかないと。」

そう言って、亮はいたずらっぽく笑った。

俺は耳まで真っ赤になって押し黙ってしまった。

「…はい。 それでは、お待ちしております。 …はい。 失礼します。」

春架は電話を切ると、顔を歪めた。
表情からして、お祖父様関連だろう。

春架の表情から大体の事を察し、小さくため息をつく。

「……お祖父様、機嫌悪くしただろ?」

「…うん。 まあ、来るらしいけど…」

そこでまた、ため息をつく。

お祖父様に会うのなんて何年ぶりだろう…

そう考えるだけで気が重くなった。

ーと、不意に亮が手を握ってきた。

「なに?」

「…いや、別になんでもないよ。」

そう言って、優しく微笑むが、手は離さなかった。

その後、なにを言っても亮は微笑むだけで、手を離そうとはしなかった。

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