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恋ばか

第10章 ~婚約者~

「…では、留架君の婚約を解消していただきましょうか?」

「…どういう意味だ? まさか、留架に恋人でもいるのか?」

お祖父様は驚いて聞き返してきた。
亮は笑ったまま「ええ。」と頷いた。

「…誰だ?」

「…あなたの目の前にいますよ。」

お祖父様と綾音は驚いて目を見開いた。

「…何の冗談だ?」

「冗談などではありません。」

亮はそう言うと、俺を先ほどと同じように引き寄せて唇を重ねてきた。

「んっ!? ちょっ、亮!?」

亮は唇を離すとお祖父様に向き直った。

「これで信じていただけましたか?」

「…………」

お祖父様は言葉を発しなかったが、しばらくすると落ち着いたのか、いつもの顔に戻った。

「…本気なのか?」

「はい。」

お祖父様はしばらく何かを考えるように黙り込むと急に笑い出した。

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