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恋ばか

第10章 ~婚約者~

「……二人はまだ、あの時の事怒ってるの?」

「……当たり前だろ…あんな事しておいて…許せるわけな…」

「それがお祖父様のご命令でも?」

境の言葉を遮って綾音が口を挟んできた。

綾音の言葉に境が目を見開いた。

「なに…言って…」

境の反応を見て、綾音は楽しそうに笑った。

「あれは…お祖父様のご命令だったのよ。 だから、私は悪くない。」

「っ……」

綾音の言葉を聞いて、境は黙り込んだ。

きっといろいろ考えているのだろう。

今まで綾音が悪いと決めつけていたのに、お祖父様のご命令だったなんて…

「…それで、お前は何が言いたいんだ? 自分は悪くないからまた仲良くしてくれとでも?」

俺の言葉に綾音は頷いた。

「ええ、そうよ。 もう、あなた達が私を嫌う理由がないでしょ? だって、私は何も悪くないんだもの。」

何も悪くない?

その言葉に、俺は完全にキレた。

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