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恋ばか

第10章 ~婚約者~

「ふざけるな!! あんな事しておいて、自分は悪くないだと!?」

境は慌てて俺を落ち着かせようとする。

「留架、落ち着け!! 確かに綾音のいう事にも一理ある!!」

しかし、それでも気が静まらなくて…

「兄ちゃん!!」

―と、春架が後ろから抱きついてきた。

驚いて振り返ると、春架は涙目になりながら、必死に俺に抱きついていた。

「兄ちゃん!! お願いだから、落ち着いて!!」

「春…架…」

春架に抑えられ、気分がだんだん落ち着いていった。

「…ごめん。 つい、カッとなった。」

俺が落ち着いたのを見て、境はほっと胸をなで下ろした。

「留架…自分の非は認めないと…」

突然切れた俺に驚きつつも、亮が声を掛けてきた。

「うん…わかってる。 俺だって、何も悪くない人に対して馬鹿みたいに怒らないよ。 でも…」

「…?」

春架は俺を抱きしめる力を強くした。
僅かにその手が震えているのがわかる。

俺はその手を握って、春架を落ち着かせようとした。

「お前は…お祖父様のご命令じゃなくても、父さんに詰め寄ってただろ?」

「なっ!?」

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