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恋ばか

第11章 ~父~

「成海さん!! 大丈夫?」

「っ…大丈夫だ…」

父さんはそう言って優しく微笑むと、再び俺に向き直った。

「どうしたんだい杏? はは…まさか、照れてるのかい?」

そう言って、再び俺を抱き寄せようと腕を伸ばしてきた。

『まさか、照れてるのかい?』

その言葉に俺の理性は完全に崩壊した。

「嫌だっ!!! 来ないで!!!!!」

俺の言葉を聞いて、父さんの顔から笑みが消えた。


あの時と、同じ―


父さんは嫌がる俺の腕を無理矢理掴んで、自分の方に引き寄せようとした。


(…全部…全部あの時と、同じ…)


「いやだぁ!!!! 離して!!!」

「どうしたんだ、杏!!? 私だ!!」

「桜木様!! お止め下さい!!」

亮は必死に父さんから俺を離そうとした。

しかし、父さんがそれを許さず、いきなり亮に殴りかかった。

「うるさい!! 部外者は引っ込んでろ!!!!」

「っ!!」

亮は不意をつかれて、思いきり殴られると、壁に勢いよく頭をぶつけた。

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