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恋ばか

第12章 ~崩壊~

(坊ちゃまに挨拶して下さい。)

(…でも…)

戸惑っている俺を見ると、三神は小さくため息をついた。

(一番最初に言ったはずです。 執事の仕事をしている間は私情を捨てろと…)

そう。 三神は、俺に執事の仕事を教えてくれるときに、最初にこう言った。

『いいですか? 執事の仕事をしている時は、私情は一切捨てて下さい。 たとえ、自分の主人を好きだとしてもです。 主人が望まない限りは…ですけど。』

仕事中は一切私情を捨てる…

俺は、自分の仕事を全うするため三神に耳打ちした。

(わかりました。 朝食の準備はできていますか?)

(ええ。)

三神は俺だけにわかるように、小さく頷いた。

俺は小さく息をつくと、ゆっくりと振り返った。

「おはようございます、坊ちゃま。 朝食の準備が整っております。」

「え…」

亮は俺の声を聞いて一瞬固まった後、ゆっくりとこちらを振り向いた。

「留架…?」

「…お久しぶりです。」

亮は状況を把握しきれていないようで、キョロキョロと辺りを見回している。

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