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恋ばか

第15章 ~目覚め~

「優しい先生だね。」

「あぁ。 いい人だと思うよ。」

境は俺の言葉に頷くと、席を立った。

「ちょっとトイレ。」

「俺も行くよ。」

そう言って、境とカズは部屋を出て行った。

…部屋に残された俺と三神。

「…ごめんね。 心配かけちゃったみたいで…」

謝罪の言葉に、三神は軽く笑うと、優しく頭を撫でてきた。

「もういいんですよ。 あなたが無事だったんですから。」

「三神…」

三神に撫でられて思い出した事。

それは―…

「ねぇ…三神…」

「はい?」

父さんは…父さんはこの事どう思ってるの?

そう口にしようとして押し黙る。

きっと、父さんは死ぬほど心配してる。

俺の事じゃなく、母さんの事を…

「留架様…?」

急に黙った俺を不思議に思ったのだろう。
三神が顔を覗き込んできた。

「三神は…」

「え?」

三神の腕をギュッと掴んで、真っ直ぐ三神を見つめる。

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