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恋ばか

第15章 ~目覚め~

「春…架…?」

ともう一人。

二人は部屋に入って来ると、俺の正面に立った。

「兄ちゃん…大丈夫…?」

「うん。 お見舞いに来てくれたの?」

笑いながら問うと、二人は少し罰の悪そうな顔をした。

「う、うん…」

「…?」

返事を返すと、春架はすぐ俯いてしまった。

不思議に思って境を見ると、表情が暗かった。

「境…? どうしたの?」

声をかけると、境は驚いたように俺を見た。

「どうしたの? って…留架はあんな事されても笑えるのか?」

「あんな事…?」

境が何を言っているのかわからない。

(俺…春架に何かされたっけ?)

「留架…覚えてないの?」

「…何を?」

境は驚いたように立ち上がり、俺の肩を掴んできた。

「留架が事故に遭う前に、何してたか覚えてる?」

そう問われ、考えてみる。

(事故に遭う前? 確か家を飛び出す前に境とすれ違った気が…その前は? 部屋にいて…三神が…)

そこまで考えて、急に凄まじい頭痛に襲われた。

「うあ゛!?」

頭を抱え、ベッドに倒れ込む。

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