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恋ばか

第19章 ~愛しい人~

先ほど境に怒鳴られた女子がまた騒ぎ始める。
小声で話しているが、話の内容が丸聞こえだ。

なんでも、『やっぱり境君は怒ってもかっこいいよね。』とかなんとか…

(女子って怖い…)

内心そんな事を思いながら視線を移すと、小原さんのファンクラブの部長が目に入った。

彼女はこちらを恐ろしい表情で睨んでいて…

(誰を見てるんだ? 俺?)

しかし、そうではないことに気づいた。

(俺じゃない…とすると、春架か?)

どうやら、それは当たっているようだ。
春架が移動するのと同時に、彼女の視線も動いた。

(あの表情…どっかで見た気が…)

激しい嫉妬…凄まじい殺気を放ったような…

(いつだ? いつあれを見た?)

思い出そうと、必死に考えを巡らせる。

(いつだ? いつ…)

『あなた邪魔なのよ。』

(あ…あの時…?)

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