テキストサイズ

恋ばか

第19章 ~愛しい人~

(お…なんだ?)

必死に考えを巡らせ、続きを思い出そうとする。

『…警告を無視して小原様と…』

小原さん…?

なぜそこに彼の名前が出てくるのか全くわからなかった。
しかも、頭痛はさらに激しさを増す。

「い゛あ゛っ!! あ゛…はっ…」

「留架!! おい!!」

クラスにいた全員が、心配そうに周りに集まってきた。
そんな景色を視界の端で捉えながら、再び考えに没頭する。

『…警告を無視して小原様と別れないからよ。』

『別れるわけないだろっ!!』

俺の言葉に彼女が見せた表情は…

『…仕方ないわね。』

鬼。

まさに鬼のような表情だった。

『なぜ別れないの? こんな目に遭わされて…』

『っ…そんなの…』

声を絞り出す。

『亮の事が…好きだからに決まってんだろ。』

『………………』


―――――――――――――



「あっ…」

思い…出し…た…?

「留架君…大丈夫…?」

目の前には愛しい人の顔。

頭痛が引いていくにつれ、意識も遠のいていった。

「…ょ…う…」

そして、俺は完全に意識を手放した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ