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恋ばか

第19章 ~愛しい人~

「これ、みんなに見られたくなかったら、俺に従うこと。 わかった?」

「…っ…は…ぃ…」

声を絞り出して返事を返すと、空は満足気に頷いた。

「ほら、さっさと服着て。 もうすぐ昼休みだから早く教室に戻りなよ。」

「っ…はい…」

空が保健室から出て行った後、しばらく動けずそのままの体勢で泣いた。

「…っく…亮…っ…」

怖かった…空にあんなことされるなんて…

(小原財閥を潰されたくなかったら…言うこと聞きなよ。)

あの書類一枚で…小原財閥は簡単に潰れるだろう。
もし小原財閥が潰れたら、亮の父さんが負う借金の金額は…人の一生じゃ払えないような金額になる。

そうなったら、亮はどうなる?

(亮が不幸になるのだけは…)

なんとしても防ぎたい。
春架のためにも…俺が我慢してみんなが幸せになれるなら…

「…亮っ…」

これで、本当に終わりだ。
今日、俺は完全に空のものになる。

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