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恋ばか

第20章 ~決断~

そんなことがないことを願いながら車を降り、屋敷の中に入った。

「お祖父様、留架です。 遅くなってすみません。」

「あぁ、入れ。」

「失礼します。」そう言ってから部屋に足を踏み入れる。

「まあ、座れ。」

「…はい。」

勧められるまま、お祖父様の前の椅子に腰をかける。

「遅くなってしまい、すみません。」

「別に構わん。 それで、話というのはな…」

お祖父様は咳払いをひとつすると、本題に入った。

「さっき、小泉空がここに来た。」

「ぇ…」

恐れていた名前が出てきて、頭が働かない。

「…それで…なにをしていったんてすか…?」

「………」

空のことだ。

なにもせずに帰ったとは思えない。

「あの若僧は、お前が小原亮の事を思い出したと言って帰って行ったよ。」

「っ!!」

なんで、そんなこと…

「本当なのか? 留架。」

「っ…それは…」

答えを返せずにいる俺を見て、お祖父様は優しく微笑んだ。

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