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恋ばか

第20章 ~決断~

「別に捕って食うわけじゃない。 正直に言いなさい。」

「…………」

意を決して、口を開いた。

「…はい。 思い出しました。」

「…そうか。」

お祖父様は満足そうに頷くと、更に質問をぶつけてきた。

「まだ彼の事が好きか?」

「…っ……」

言葉をつまらせていると、お祖父様が口を開いた。

「言っただろう? 正直に言いなさい。」

「でもっ…」

今ここで認めたら…

「どうなんだ? まだ好きなんだろう?」

「…っ……」

亮との約束を破ることになる。

「全部吐き出しなさい。」

「っ…お…祖父…様っ…」

お祖父様の優しい言葉に、今まで溜め込んでいたものがすべて溢れ出してきた。

「おっ…れ…っ…まだっ…」

泣きじゃくる俺の隣にお祖父様は腰をかけると、優しく頭を撫でてくれた。

「亮っ…の事…好きっ…で…」

久しぶりに触れるお祖父様のぬくもりは温かくて…

「でもっ…春架の事…傷つ…けたっ…く…なっ…」

お祖父様はなにも言わず、黙って俺の言葉を聞いていた。

「もっ…どうしたら…いいのかっ…わからな…っ…」

俺はお祖父様の優しさに甘えて、しばらく泣き続けた。

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