恋ばか
第20章 ~決断~
「なんでそんなこと…」
「理由は簡単だよ。」
お祖父様は「やれやれ。」と言うように首を振った。
「まず、あいつが見せてきた書類に書いてあった小原財閥の取引き相手はうちの薬品部門の会社だった。 うちは小原財閥と取引きしているが、薬品部門においては他の会社と取引きしている。
それに、あの書類に使われていたインクは、うちが書類に使うものと違ったしな。」
「………」
お祖父様の洞察力が凄すぎて、なにも言えなかった。
「…というわけで、安心して小泉空との婚約を解消していいぞ。」
「あ…のっ…」
もう一つ、心配な事がある。
「写真…は…」
「あぁ…それに関しては、もう手配してある。 あの若僧の使っている携帯とパソコンをハッキングして、データを全部壊しておいた。」
まじですか…
「だから安心しろ。」
「ありがとうございます。 しかし…」
今更婚約を解消したって…
「亮はもう…俺の隣には戻りません。」
「…春架か?」
正直に頷いた。
「…はい。 春架が幸せなら、俺は…」
「つらくないか?」
つらい…か…
「つらいと思います。 好きな人が、弟と付き合ってるのを見てなきゃいけないんですから…」
つらいなんてもんじゃないんだろうな。
「そうか…なら、ちょうどよかった。」
「…?」
お祖父様を見れば、悲しそうに笑っていた。
「お前の気持ちを確かめてから言おうと思ってたんだが…」
お祖父様が発した言葉は、予想していなかったものだった。
「小泉空との婚約を解消する代わりに、アメリカに留学してきなさい。」
「理由は簡単だよ。」
お祖父様は「やれやれ。」と言うように首を振った。
「まず、あいつが見せてきた書類に書いてあった小原財閥の取引き相手はうちの薬品部門の会社だった。 うちは小原財閥と取引きしているが、薬品部門においては他の会社と取引きしている。
それに、あの書類に使われていたインクは、うちが書類に使うものと違ったしな。」
「………」
お祖父様の洞察力が凄すぎて、なにも言えなかった。
「…というわけで、安心して小泉空との婚約を解消していいぞ。」
「あ…のっ…」
もう一つ、心配な事がある。
「写真…は…」
「あぁ…それに関しては、もう手配してある。 あの若僧の使っている携帯とパソコンをハッキングして、データを全部壊しておいた。」
まじですか…
「だから安心しろ。」
「ありがとうございます。 しかし…」
今更婚約を解消したって…
「亮はもう…俺の隣には戻りません。」
「…春架か?」
正直に頷いた。
「…はい。 春架が幸せなら、俺は…」
「つらくないか?」
つらい…か…
「つらいと思います。 好きな人が、弟と付き合ってるのを見てなきゃいけないんですから…」
つらいなんてもんじゃないんだろうな。
「そうか…なら、ちょうどよかった。」
「…?」
お祖父様を見れば、悲しそうに笑っていた。
「お前の気持ちを確かめてから言おうと思ってたんだが…」
お祖父様が発した言葉は、予想していなかったものだった。
「小泉空との婚約を解消する代わりに、アメリカに留学してきなさい。」