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恋ばか

第22章 ~別れ~

「兄ちゃんが、母さんと父さんの事をずっと気にしてたのは知ってたよ。 でも、兄ちゃんから母さんと父さんを本当に奪ったのは俺なんだ。」

春架はにっこりと、悲しそうに笑った。

「俺、知ってたよ。 兄ちゃんがどんな目で二人を見てたか。 でも、俺は二人を独占していたかった。」

春架がそんなことを思っていたなんて…

「クリスマスプレゼントを買ってもらおうとしたあの日…俺は、本当に二人を兄ちゃんから奪っちゃったんだ。」

知らなかった。

「春架、それは違っ…」

「でも、俺のわがままのせいで母さんは死んだ。」

俺の言葉を遮って、春架は悲しそうに笑った。

「それからだったよね? 兄ちゃんが俺を笑わそうとしてくれたのは…俺のわがままをなんでも聞いてくれて、なんでも譲ってくれて…」

気づけば、春架につられて泣いてしまっていた。

「だから、俺は決めたんだ。 今度は兄ちゃんに笑ってもらおうって。 俺ももう中2だし、そろそろ兄ちゃん離れしないと。」

「春…」

口を開こうとすれば、すぐに春架に遮られてしまった。

「もう我慢しなくていいよ。 亮さんの事、好きなんでしょ?」

「……………」

なにも返せずにいれば、春架は亮に声をかけた。

「亮さんも、兄ちゃんの事、好きなんでしょ?」

「…あぁ。」

即答した亮に驚き、亮を振り返る。

「亮っ…なんで…せっかく…」

亮の答えを聞いた春架は、急に大声を上げた。

「あ~あ、すっきりした!!」

全員、驚いて春架を見る。

「なんか、そういうことみたいだし、あとはごゆっくり。」

春架はそう言って笑うと、ひらひらと手を振りながら帰って行った。

「…春架の方が、一枚上手だったな。」

「境…」

境は「やれやれ。」とでも言いたげに肩をすくめると、にっこり笑った。

「ま、あとは二人で。」

「またな。」

境とカズはそう言って、帰ってしまった。

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