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恋ばか

第26章 番外編~Merry Christmas~

(三神め…)

心の中で三神に悪態をつくと、亮が優しく頭を撫でてきた。

「亮…?」

「…ごめんな。」

不思議に思って亮の名を呼べば、亮は謝ってきた。

「留架の気持ち、考えなくて…」

「いや、あれは…」

「留架にとって、クリスマスはつらい思い出なのに…それに気づいてやれなくて、ごめん…」

自分も謝ろうとすると、亮は俺の言葉を遮ってそう言った。

「俺のためにやってくれたのに、拒んだりして、本当にごめんな。 こんなんじゃ、恋人失格だよな…」

「亮…」

初めて見た。

こんなに自分を責めてる亮。

「亮…俺、夢を見たんだ。」

「夢…?」

亮の目を見るために、上半身だけ体を起こす。

「母さんが、死んだ日の夢だった。」

「…」

こんな話、話すのつらいはずなのに…

「春架の泣き声が聞こえて…」

なんでだろう…

「目の前が真っ暗になった。」

亮には、聞いてほしい。

「気がついたら夢の中で…」

過去のことを口にするのは、あんなにつらかった。

「死んだ母さんが出てきた。」

でも今は…

「母さんは、ゆっくりと姿を現しながら俺を責め続けた。」

なにも恐れることなく…

「俺は、ただただ必死に謝り続けた。 「ごめんなさい」って。」

人に話せる。

「母さんに怯える俺を落ち着かせてくれたのは、亮だった。」

「俺?」

亮が不思議そうに首を傾げる。

「亮の声が聞こえたんだ。 俺の名前を呼んでくれてる、亮の声が。」

「……」

あれは気のせいだったのかな?

「その声が、俺を落ち着かせてくれた。」

あの温かいぬくもりも…

「亮がいたから…俺は、母さんのことを乗り越えられたんだ。」

「留架…」

優しい声も…

「亮は俺のことを救ってくれたから…少しでもいいから喜ばせようとしたんだけど、逆に困らせちゃったな。」

「え?」

全部俺に向けられていたのかな?

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