恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「ええ。 明日は生徒会があって早いので。」
「そうか。 なんか、悪かったな。」
驚いて振り向くと、空さんは困った顔をしていた。
「そんな時に誘っちまってさ。」
空さんの言葉に、慌てて弁解する。
「ぁ、大丈夫ですよ。 いつもより30分くらい早いだけですから。」
そう言えば、空さんは立ち上がって額にキスしてきた。
「…空さん…?」
「今度からはちゃんと言えよ?」
耳元でそう言われ、素直に頷いた。
「はい。」
俺の返事を聞くと、空さんは満足したように離れた。
「じゃあ、今日はこれで。」
「あぁ。 また声をかける。」
空さんの言葉に頷き、部屋を出た。
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「おーい、春架。」
「ん?」
その声に振り返れば、親友の結崎 晃太(ゆいざき こうた)がこちらに走ってきた。
「なに?」
「今日さ、買いたい物があるから付き合ってくれないか?」
ユイは俺の隣に来ると、そう口にした。
「別にいいけど…なに買うの?」
「はまってる漫画の新刊。」
「は?」
意外な答えに、首を傾げる。
「そんなの執事とかに買わせにいけばいいじゃん。」
俺の言葉に、ユイは照れ臭そうに笑った。