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恋ばか

第29章 ~好きになっちゃいけない人~

「いや…最近、春架と一緒に遊びに行ってないからさ。」

確かに最近はユイと遊んでいない気がする。

「そうだな。 じゃあ、放課後一緒に行くか。」

「おう。」

ユイとそう約束し、授業を受けに教室に入った。

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「お、あった。」

本屋に着くと、ユイは一直線に漫画コーナーに向かった。

「あぁ、これ読んでるの?」

ユイの手には、俺も知っている今流行りの少年漫画が。

「おう。 これが案外面白くてさ。」

「へぇ~…」

適当に頷きながら、何気なく視線を横にずらす。

「ぁ…」

「ん? どうした?」

そこには、見慣れた姿が。

「ちょっとごめん。 それ、買ってて。」

「おう…?」

ユイにそう断り、足早にその人のもとに向かう。

「境兄ちゃん!!」

「!! あぁ…春架か。」

後ろから声をかければ、境兄ちゃんは驚いて振り返った。

「こんにちは、春架君。」

「こんにちは。」

隣には黒澤先…一臣さんがにこにこ笑いながら立っていた。

「こんなところでなにしてんの?」

「いや…それは…」

そう聞けば、境兄ちゃんは顔を赤らめて黙り込んでしまった。

「なんだ、デートか。」

「ちがっ…今日は参考書を買いに…」

「恋人と二人で?」

言葉を遮ってそう言うと、境兄ちゃんはまた黙り込んだ。

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