
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「春架、買ってきたぜ。」
「あ、うん。」
顔を真っ赤にしている境兄ちゃんから、ユイに視線を移す。
「早かったね。」
「あぁ、レジが空いてた。」
ユイはそう答えると、境兄ちゃんに視線を移した。
「お久しぶりです、五十嵐先輩。」
「おう。」
境兄ちゃんはユイの姿を見ると、俺に話しかけてきた。
「なんだよ、お前こそデートしてんじゃん。」
「違うから。」
その言葉に笑いながら、返事を返す。
「ユイは俺の幼馴染のままだから。」
「チッ…」
悔しそうに舌打ちした境兄ちゃんは、俺達から一瞬目を逸らした。
「ぁ…」
そして、なにか発見したらしい。
「どうしたの?」
「境、どうした?」
ずっとそちらの方向を向いているので、気になって声をかける。
「いや…あれって、空だよな?」
「え?」
空さんの名前が出てきたことに驚き、そちらに目をやる。
「…小泉だな。」
「空さんですね。 一緒にいるのは?」
空さんの隣には、見知らぬ男子生徒が一人。
「木原じゃね?」
「木原…?」
どこかで聞いたことがあるような…
