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恋ばか

第29章 ~好きになっちゃいけない人~

「俺、コーヒーで。」

「俺はミルクティーで。」

ウエイターに飲み物を注文し、メニューを置いた。

「…………」

「…………」

あんな話を聞かれた後で、ユイになんて話しかければいいのかわからない。

「……引いた…よね?」

「え?」

そう声をかければ、ユイは驚いて声を上げた。

「兄ちゃんの元婚約者と、あんなことしてるって知ったら…さ…」

「………」

ユイはなにも答えなかったが、しばらくすると口を開いた。

「引いてはない。 ただ…」

ただ…?

「失望した…かな…?」

「っ!!」

そう…だよね…

「自分にな。」

「……ぇ…」

驚いてユイを見る。

「お前が小泉先輩と関係を持つようになったのは、たぶん留架さんがアメリカに行った時だろ?
それと同時に、お前は小原さんに失恋した。

心の拠り所を求めるのは自然なことだよ。」

そう言って、ユイは悲しそうに微笑んだ。

「ユイ…」

正直、すごく嬉しかった。
だって、絶対に嫌われると思ってたから。

「ありがとう。」

「ん。」

お礼を言うと同時に、ウエイターが飲み物を運んできた。

「まぁ、新しい恋って見つけるの大変だろうけどさ、ゆっくりでいいからちゃんと前に進めよ。」

ユイの言葉に頷き、ミルクティーを一口飲む。

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